佐野元春

佐野元春おすすめアルバム『或る秋の日』2019【私的全曲レビュー】

今回の記事は佐野元春さんのアルバム「或る秋の日」についてです。既発表曲4曲と新作4曲からなる全8曲の構成です。新曲はコンセプトありきで創られた印象を受けました。


或る秋の日(受注生産限定盤)

或る秋の日  全体的な感想

『或る秋の日』2019年発表

2020年にデビュー40周年を迎える佐野元春さんの最新作になります。全体の印象としてはアルバムタイトル通り、ジャケ写通りの内容です。

佐野さんの作品としては地味な作品群の一つに該当するとは思います。しかし佐野さんのコントロール下とは言え、ここ10年来の盟友であるTHE COYOTE BANDの抑えすぎない演奏からはフォーク感やブルージー感は感じられず、とても品の良いクラシカルな印象すら受けました。

出会い・別れ・再会…

ファーストアルバムの「さよならベイブ」「バッドガール」の流れをふと思い出しました。既発表曲と新作が合体した作品ですが、佐野さんのストーリーテラーとしての魅力が詰まっています。一人で静かな環境で聴くと、よりじわじわ来ます。

或る秋の日  各曲感想

1. 私の人生   既発表曲

メロディーやリズムはややヘビーですが、アレンジがキラキラしているので気持ちが前向きになれます。アルバム「ZOOEY」の「虹をつかむ人」に通じるものを感じました。

2. 君がいなくちゃ   既発表曲

数年前に出演したラジオでパーソナリティの人が高校の同級生?だったとかで、当時高校の学内で披露され大人気だったと聞いた覚えがあります。

「あーその曲はたしか…”君がいなくちゃ”って曲だったね」みたいな感じに佐野さんが答え、軽く口ずさんでいました。その2,3年後に配信曲としてレコーデイングされたものです。

高校時代の曲ですか…凄い才能です。とても聴きやすいポップソングです。

3. 最後の手紙   新作

この曲はまさに別れの歌ですね。離婚の歌でしょうか?「子供たちにもよろしく…」と生々しいフレーズが刺さってきます。

サウンド的にはイギリスっぽいというかギルバート・オサリバン的な切なさが漂います。じめじめとしたウエット感がないのも良いですね。

4. いつもの空   新作

別れた後の日常を歌ったものの様です。主人公は「足りないものはない」と自分に言い聞かして前へ進もうとしています。

また、愛する人が自分の元を去った現実も受け入れつつある様で、とても穏やかで落ち着いた雰囲気に包まれていて、暗さは感じませんでした。

サウンドはフィンガースナップ・生ギター・キーボードが印象的なアレンジになっていて、エリック・クラプトンのアンプラグド的な品の良さを感じました。

5. 或る秋の日(Alternate Mix)  既発表曲

愛しい人との再会を歌った曲。詩の世界観は異なりますがアルバム「MANIJYU」の「悟りの涙」にも通じる、やわらかで軽やかな心地の良いソウルナンバー。本アルバムの中で最も凝ったアレンジが施されている様に感じました。

6. 新しい君へ   新作

「新しい君へ、これがささやかなアドバイス」というフレーズが印象的な大人のバラッド。このフレーズは文字通りに受け取るべきなのでしょうか? 女性は男性と違って強い。

佐野さんのボーカル表現や前後の詩を聴いていると、自分の元を去っていった女性、何の未練もなく見事に「新しくなった君」に対する皮肉の様にも聞こえます。

曲調は、4.「いつもの空」と同様、クラシカルな雰囲気に包まれています。また、前曲の「或る秋の日」で別れた人との再会を果たしたはずですが、続けて聴くと再び別れてしまった様な印象を受けます。

7. 永遠の迷宮   新作

曲調としては佐野さんらしいフォークロックで本アルバムの中で唯一? 軽快感のある曲です。往年の佐野さんのファンも満足できるのではないでしょうか? ライブで盛り上がりそうな曲です。

歌詞に関してはスピリチュアルというか観念的というか、いまいちピンと来ませんでした。愛は幻想的で謎めいているという感じでしょうか?

8. みんなの願いかなう日まで   既発表曲

1985年発表のクリスマスタイム・イン・ブルー以来のクリスマスソング。「メリーメリークリスマス」と何度も連呼されるので、クリスマスソングだなぁと理解は出来ますが、正直ピンと来ませんでした。コーラスが女性だったらもう少し違った印象になったかも知れません。

私のクリスマスのイメージは普通に冬や雪です。クリスマスタイム・イン・ブルーはレゲエ調でしたが、冬や雪とは真逆の南国感的なものは感じませんでした。

本作についてもウクレレが印象的なのもあって南国感が感じられます。しかしそれをコーティングする様な冬や雪といったものは感じられませんでした。まあ、南国でもクリスマスはクリスマスなんですけど。

以上、佐野元春おすすめアルバム『或る秋の日』2019【私的全曲レビュー】でした。ありがとうございました。

或る秋の日(受注生産限定盤)