佐野元春

佐野元春おすすめアルバム『自由の岸辺』2018【私的全曲レビュー】

今回の記事は佐野元春さんのアルバム「自由の岸辺」についてです。2010年に発表した初のセルフカバーアルバム「月と専制君主」以来の2作目で、全体的にブルージーな印象で演奏は前作同様ホーボーキングバンドが担当しています。


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自由の岸辺  全体的な感想

『自由の岸辺』2018年発表

初のセルフカバーアルバム「月と専制君主」と同様に本作も演奏はホーボーキングバンドが担当しているとの情報から、概ね想像通りの内容になっていました。

メンバーの方々は佐野さんとほぼ同世代だと思われますので、60年代・70年代のR&Bやフォークの良さを同時体験・共通理解しているからこそ成立したアルバムとも言えそうです。

佐野さんいわく、セルフカバーとは過去作をアップデートしたものと言っていましたが、歌詞の英語部分を日本語に置き換えるなどの作業も前作同様に行われています。

また、大半が大胆なリアレンジが施されていて、曲によってはメロディーも変更されるなど原曲の面影を感じさせない曲もあります。それらを善しとするかしないかは聴き手次第ですね。

自由の岸辺  各曲感想

1. ハッピーエンド

【原曲:Sweet16 1992年】

終始鳴っているアフリカン?なドラムのリズムが印象的です。最近で言えば「BLOOD MOON」の「私の太陽」でしょうか。この曲は元々エキゾチックなリズムが特徴的でしたが原曲との違い・違和感的なものは感じませんでした。

2. 僕にできることは

【原曲:FRUITS 1996年】

ベースがとても印象的なアレンジです。そもそも原曲に思い入れがないので、正直これといった感想はありません。強いて言えば「THE BARN」的な雰囲気を感じます。敬遠したくなる様なクセはないのでこれはこれでアリかなとは思います。

3. 夜に揺れて

【原曲:Back To The Street 1980年】

「ナイトスウィンガー」のリメイク。タイトル・歌詞・アレンジと大幅に改編された曲で先行MVも公開されるなど本作を象徴する一曲でもあります。

ブルージー感満載のアレンジで佐野さんのハーブもキマっています。これは好き嫌いが分れそうですが、原曲とは別物の新曲と捉えれば合点がいきそうです。

4. メッセージ

【原曲:Stones & Eggs 1999年】

3.と同様、テンポを落としブルージーにリアレンジされ、歌詞も一部日本語に書き換えられたものです。

メロディー自体は基本的に原曲と同じである分、逆に違和感を感じました。原曲は1999年作品ですが、当時初期作品を思わせるその瑞々しさに、その気になればこういうのもまだまだ創れるんだなと、とても感激した記憶が違和感に繋がったのだと思います。

5. ブルーの見解

【原曲:ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 1989年】

これは1989年当時ライブアレンジとして披露していたものをホーンからキーボードに変更したものですので、そのver.が嫌いでなければ違和感なく聴けると思います。

6. エンジェル・フライ

【原曲:Stones & Eggs 1999年】

2.と同様、原曲に思い入れがないのでこれといった感想はありません。こちらもクセがないので敬遠することなく聴けるとは思います。

7. ナポレオンフィッシュと泳ぐ日

【原曲:ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 1989年】

そもそもライブ用として用意されたアレンジだったのかも知れません。ホーンはないですが間奏はふんだんに盛り込まれ、かなりの長編となっていますので聴きごたえ十分です。

こちらの演奏は2001年に録音されたもので、ハートランドでパーカッションを担当していた里村美和さんが参加しています。

8. 自由の岸辺

【原曲:mf Various Artists Vol.1 1989年】

原曲は佐野さんのラジオの企画で誕生したユニット、ブルーベルズの2枚目のシングル。サビのメロディーが変更され女性ボーカルもありませんので、原曲の洒落た雰囲気は感じられません。力強い骨太な曲に生まれ変わった感じですがパーカッションは本作でも変わらず効いています。

9. 最新マシンを手にした子供達

【原曲:Sweet16 1992年】

この曲はいくつかのライブver.が存在しているかと思いますが、本作のver.はそのどれにあたるのか、あたらない新ver.なのかは分かりません。

サウンドはジャムセッション的な大人の渋いロックといった趣きです。途中でテンポを落としたり、佐野さんのハーブも随所で活躍するなど格好良い曲に仕上っています。

10. ふたりの理由、その後

【原曲:ナポレオンフィッシュと泳ぐ日 1989年】

元々はアルバム「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」に収められていた「ふたりの理由」に手を加え、2009年に小坂忠氏に提供されたものです。

「ふたりの理由」の詩のリーディング部分を新たなメロディーと歌詞を創って差し替えた感じですので、やわわらかなイントロやサビは原曲のままです。

原曲は神話の様な詩がとても印象的で、その「その後」ということで続編としてかなりの関心がありましたが、どこがどう「その後」なのか、よく分らなかったのは残念です。しかし「その後」というキーワードに拘らなければ普通に良い曲だと思います。

11. グッドタイムス&バッドタイムス

【原曲:Back To The Street 1980年】

1stアルバムに収められている原曲は、ギルバート・オサリバン的なピアノが印象的で、ライブでも滅多に聴くことの出来ない佐野さんの隠れた名曲と言って良いでしょう。

40年近い時を経て、リズムはレゲエ・英語は一部日本語に変更されました。声もデビュー当時とは当然異なりますが何はともあれ、あの名曲に再び触れる機会に恵まれたことを素直に喜びたいと思います。

以上、佐野元春おすすめアルバム『自由の岸辺』2018【私的全曲レビュー】でした。ありがとうございました。

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